利用者のしたいことをさせる介護、前職では利用者ファーストという個人的には馬鹿らしいネーミングで介護方針を定めている会社に努めていました。今では、極端なファーストでなくなったため個人的にはまだやりやすいかなと思っています。
度々物議を醸す「利用者ファースト」介護、前職の経験とある程度の情報から独断と偏見で語ります。
当然、独断と偏見なのですべての「利用者ファースト」介護を謳っている会社には当てはまりません。
職員の犠牲に成り立つ
結果から言えば、職員の犠牲に成り立っている介護です。
極端なことを言えば利用者を幸せにするために職員を犠牲にするという○○搾取ではなく「搾取」そのものです。
例えば、一日がかりのイベントがある場合、準備、片付け等当日勤務でない職員はボランティアです。タダ働きです。下手すると夜勤明けの職員もお昼の12時近くまでタダ働きです。
当時のことですが、それも管理者が「うなずきくん、私からは言えないから言って欲しい」ということもありました。
この言葉、管理者はタダ働きの強要は違法だから言えない。従い、それを下のものに言わせて自分の手は汚さないようにしていました。
実はこの時に「それってタダ働きですか?」と直に聞いたんですが、色々と適当なことを言いその場を逃げました。そして、イベントが終わると反省会という名のイベントの悪かった部分の責任を私になすりつける行為をしました。ある意味サラリーマン社会の宿命でもありますが、結局は正しいことを言えば痛い目にあう。やるほうがバカを見るから誰も言わないのです。
だいぶ前にお話したwin-winの原則とは対局の世界です。
介護保険法で解決?
一つの例を出します。
ある利用者夫婦の息子さんが障がいを患っており遠方の施設に住んでいます。夫婦の住んでいる事業所からバス2本とタクシーで乗り継ぐぐらいです。
朝7時に出て夕方7時に帰ってくる。会える時間は1時間ぐらいです。
職員1名同行で3年ぐらい毎年一回対応していました。ちなみに、朝7時からの勤務なので普通は残業代がつくはずですがつきません。食事代もおにぎり2つという弁当を持参されていたはずです。
これを介護保険法範囲内という経営者でした。
この対応は3年ほど続いていましたが、去年行けなかったそうです。原因は行けるルートを知っている職員がいなくなったためです。この情報は今でも前職で働いている職員から聞きました。
介護方針は利用者ファーストとうたいながら、結局は職員の技量、知識頼みで、出来る職員が消えたらできませんというのは介護方針としてどうなんでしょう。ここが限界点でしょうか。

美談ばかりを押し出す
「利用者ファースト」介護を謳う会社はどうも利用者との出来事を美談にしたがります。前職も経営者が研修会で都合のいい部分ばかり抜き取って話していました。
そういえば、メディアやSNSを使い利用者の幸せを全面に出しまくるものの、まるで失敗がなかったかの如く表現する会社、事業所もあるようですね。
介護はいろいろな過程を経て結果が出てきます。その結果を元に再びアプローチするトライアンドエラーの積み重ねです。
従い、水面下にある努力、経過を見せてこその成果です。見せられていないのは何かやましい部分があるからでしょうか。その部分を見せずしてコンサルトして大金を使わせビジネス運営に持っていこうとする会社もあるようですが、商品を売る場合はいい部分を前面に出すのが手法ではあるものの、潜在的リスクも表示しないといけないはずです。この人達にはリスクは存在しないとしか思えません。もしくは隠し通せるとの考えで動いているとしか思えません。
人も資本
会社とは株主のものです。従い株主に利益が還元されます。
そして、会社は資本を使い利益を上げ成長させます。資本とはなにか、人・物・金です。利用者を幸せにするために、職員という人のメンテナンスを削れば当然会社に報いはきます。
そこで働いていた職員が退職、別の会社で働いていた職員が働こうとしたとき、当然知っている人に確認します。そして、悪い評判はどんどん伝わります。
どんなに綺麗事でブランディングしても化けの皮は剥がれていきます。人も資本です。ビジネスオーナーはこの言葉を忘れないようにしてほしいです。

経営者自ら契約違反
介護業界は基本的に残業代別の月給制であり、恐らく残業代等を含んだ年俸制を用いている企業は稀ではないかと思います。
前職の経営者は管理者、ケアマネージャーに対して残業申請をするなと言っていました。その理由が「他の人より多く給料を出している」からだそうです。おかしな話です。管理者、ケアマネージャーも契約では残業代別の月給制なはずです。
経営者自ら契約違反を犯しそれを平気で言える人物です。他社、他者には名物社長で通っていますが。利用者ファーストを謳う介護の経営者はこんな人ばかりなんでしょうか。
言葉騙し
「利用者ファースト」介護、私は言葉を巧みに操り職員、あるいは利用者騙す介護だと考えます。
そして、利用者がしたこと、できたことを宣伝に使い、さらに利用者を呼び込む。しかし、それは氷山の一角で見えない部分では泣いている人が多数存在することを忘れないでほしいです。
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