前回、「キラキラ介護士」なる人がいることを紹介しました。

人によっては「介護職の人材不足はキラキラ介護士を育てていけばいいのに、そんな事しないで人を選んでいるからだ!」と考える方もいるかも知れません。
人の考え、価値観を変えていくことが容易いのであれば苦労はしません。それよりも「気づき」から変化をさせるほうがまだ方法としてはいいかと考えます。ただし、この方法でも絶対ではありません。あくまで方法論の一つです。
それぞれの価値観や考え方がある
まず、他人の考え、価値観を変えることができない理由を語ります。それはその人が育ってきた環境が土台となりそれが考えや価値観に繋がっているからです。
例えば、浪費癖がついた親のもとに生まれそれが当たり前だと教えられた子供は浪費癖が価値観として育っていきます。親を反面教師として育つ例もありますが、途中でなにか多大な影響を受けた場合であり、基本的に子は親を見て育つというのはこういう部分から来ています。
考え方も一緒です。単純な例を出すとAさんは「山が嫌い」、Bさんは「山が好き」だったと仮定して、Aさんに山の魅力を語ったとしてもAさんには響きません。むしろ、Aさんはいい迷惑としか思いません。
キラキラ介護士も同様に介護に対する考え、価値観があるためどんなにキラキラ介護士の考えが間違いだと教えても、キラキラ介護士の考えは変わりません。

気づきを与え変化させる
考えを変えさせるのは無理ですが、相手に気づきを与えて変化させていく方法があります。
キラキラ介護士が傾聴ばかりで入浴介助をしてくれないのであれば、その介護士の価値観が「利用者のため」と謳っているなら、「身体の保清を保つのも利用者のためではないでしょうか?」「あの利用者はお風呂に入ることがうれしいことだと言っています。それには寄り添わないのですか?」と問いかけたりしていきます。
トイレ介助も同様に「トイレにいきたい利用者を見て見ぬ振りするのが、○○さんのいう利用者のための介護ですか?」という形で相手に別の方向にも価値観があることを見せて気づかせていきます。
そして、キラキラ介護士が少しずつ別な業務に目を向けてくれればという形で、その際には言った側も手を差し伸べ、情報を与えたりしてお互いが補うことが重要となります。
もし、気づかせる段階でまったく興味を見せない、動かないという人はそもそもキラキラ介護士以前にどの業種にも向いていない人です。
期待は持たないこと
正直言いますが、人を変えるのは至難の業です。上記に上げた方法も時間がかかる上うまく行かない事のほうが多い確率が高いです。なぜならサラリーマンはきっちり働こうが適当に働こうが給与に大差ないからです。
前の会社では介助ができない職員に無理にさせないという方針でしたが、当然できる職員ばかり負担がかさみ、できない職員に対してブーイング状態でした。そして、根本は「給与が同じなのにあいつばかり楽なことばかりしやがって」というクレームです。
職員のレベルの差でも基本給が変わらず、人が育たない、育つ人が来ない、そもそも人がいないという負の永久ループのような気がします。

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