少し前の記事ですが「介護施設の人員配置基準は現在3対1(入所者3人に対し職員1人)から、4対1へ見直しを」というのがありました。
概要

有識者の発言を見る限り、ただ単に数字をいじって人員不足を減らす皮算用にしか見えません。
生産性とは
まずは生産性とは何でしょう?
「より少ない労力と投入物(インプット)でより多くの価値(アウトプット)を産みたいという人間の考えから生まれてきた概念である」
例えが極端すぎますが、今までパン10個を作るのに50の材料で5人だったのが、30の材料で3人になりました。
と言った具合です。
従って、生産性は数字が見えやすい部分では一つの指針として有効と考えます。

介護にとっての生産性とは
介護はサービス業です。
従って、労力と投入物で利用者に対して付加価値を出す必要があります。
ですが、介護保険法では原則1割負担の9割公的資本です。
金額は決まっているので、「労力と投入物」をどうするのかとなるでしょう。
結果的に人を減らすなのでしょう。
60人の利用者を見る場合、職員は以下のとおりです。
利用者3人を一人でみる場合、20人の職員が必要になります。
利用者4人を一人でみる場合、15人の職員が必要になります。
利用者4人を職員で見ると、3人で一人を見る場合に比べて5人の職員が不要となります。ここで給与20万円と仮定した場合100万円が浮く結果となります。
従って、浮いたんだから生産性は向上したとなります・・・、っておかしいですよね。
有識者とは経営者か?
この発言をした「SOMPOホールディングスグループの櫻田謙悟CEO」の経歴を見る限り、「安田火災海上保険株式会社」入社後は一貫として保険業でのし上がっています。
グループ内には介護業もありますがどこまで現場を知っているのか。CEOなので数字を見ての判断尚でしょうが、数字ありきでの発言では危険すぎます。
ましてや「複数の有識者がこうした構想に賛同する意見を述べた」とあるのですから、どう考えても経営者団体の集まりにしか見えません。

生産性を語る前にすべきこと
正直、その業界に3年以上勤めていると、固定概念が生まれるので違う視点は必要と考えます。
とはいえ、的はずれすぎる論を入れて崩壊した場合、戻すに時間はかかるでしょうし、下手をすると取り返しがつかないことになります。
生産性を語る前に、なぜ介護が大変なのか、現場の職員が疲弊するのかを自分の目で見て、もっと言うなら有識者自身が介護職員になって問題を把握すべきです。
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