会社では教育、指導をしながら社員として成長していきます。
しかし、その教育、指導が行き過ぎた場合として最悪の惨事をもたらす場合もあります。
「JR福知山線脱線事故」、2005年4月25日に発生したJR西日本の路線で発生した事件で107名の死者、562名の負傷者を出す事故となりました。
直接の原因は、列車がスピードオーバーのまま曲がりきれずにマンションへ激突しましたが、そこに至る経緯の一つに行き過ぎた教育がありました。今回はそこから得られる教訓についてです。
複合要因
事件や事故は直接原因と関節要因の2つがあり、それらが密接に絡み合った結果発生します。
今回の事故の場合、直接原因はスピード超過でしたが、底に至る問題は以下のように挙げられます。
ハード面の問題
- スピードアップによる所要時間短縮を追い求める目先のサービスに走っていた。
- 余裕のないダイヤながら、遅れをゆるさなかった
- 乗務員の処分に対しての教育が不適切だった
- 路線設備が高速かつ多本数の割には適切ではなかった
ソフト面の問題
- 運転士の運転履歴が11ヶ月と若かった
- 事故直前や数日前にも運転ミスがあった
このような要因から以下のように事故に至ったと思われます。
運転士は運行履歴が浅くその中でダイヤに余裕がなく会社は遅れを許さない体制であり、乗務に対してミスがあった場合は教育を受けさせられる。
当日もミスが有り、直前もミスをして、教育は受けたくない、会社からお咎めを受けたくないという考えから
ダイヤを回復させようとスピード超過で走行するもカーブに気づくのが遅れ事故に至る
今回の主眼は「不適切な教育」なため、その他細かい要因は省いています。
不適切な教育
JR西日本が乗務員に課した教育とは以下のような、精神論・根性論丸出しの業務の向上とはなんら関係のないものでした。
- 乗務員休憩室や詰所、点呼場所から丸見えの当直室の真ん中に座らせ、事象と関係ない就業規則や経営理念の書き写しや作文・レポートの作成を一日中させる
- トイレに行くのも管理者の許可が必要で、プラットホームの先端に立たせて発着する乗務員に「おつかれさまです。気をつけてください」などの声掛けを一日中させる
- 敷地内の草むしりやトイレ清掃などをさせる
- 個室に軟禁状態にして管理者が集団で毎日のように恫喝や罵声を浴びせ続ける
正直、平成が20年になろうかという時までやっていたことが驚きです。
止めるべき事は
私も過去に介護業界に入り、精神論な教えで滅入ってしまったことを伝えています。
正直、どの業種でも「精神論」「根性論」的な考えを持つ人はおり、それを正しいと言う考えのもと説法のごとく口やかましく言ってくる人はいます。
しかし、業務とは関係ないことを教育と称しても意味はなく、受けた側は萎縮してミスを再発するだけです。事件、事故につながらないミスならいいです。しかし、このように他社を巻き込み結局は会社の信用失墜につながるような考えや教えはなくさなければなりません。
本当に後輩を育て会社を残していくための教育なのかを今一度見直してみましょう。
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